学校法人 永島学園
情報公開お問い合わせ
ホーム理事長挨拶学園の歴史教職員募集

理事長挨拶


理事長 : 永島 一雄

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

めでたく卒業される皆さんに、私が何かあった時に思い出すようにしている物語を贈ります。それは、お隣中国で古くから伝わる次のようなお話です。

昔、中国の北の方に占いの上手なおじいさんが住んでいました。さらに北の方には「胡 (こ)」と言う異民族が住んでおり国境には要塞がありました。
ある時どうしたことか、おじいさんの飼っていた馬が北の「胡」の国に逃げて行ってしまいました。この辺りは良い馬が多く高く売れるので、近所の人が慰めにやって来ると、おじいさんは残念がっている様子もなく、こう応えました。『このことが、どうして幸せに転じないことがありましょうか ! 』。

しばらくたったある日、その逃げ出した馬が、たくさんの良い馬を引き連れて、おじいさんの所へ帰って来ました。近所の人がさっそくお祝いに駆けつけると、おじいさんは喜んでいる様子もなく、こう応えました。『このことが、どうして禍 (わざわい) に転じないことがありましょうか ! 』。

おじいさんの家は以前より豊かになりましたが、しばらくたったある日おじいさんの息子が、その馬から落ちて足の骨を折り足が不自由になってしまいました。近所の人がお見舞いに駆けつけると、おじいさんは平然として、こう応えました。『このことが、どうして幸せに転じないことがありましょうか ! 』。

それから一年ほど経って北の「胡」の国と戦争になり多くの若者が戦いに行きました。そして、なんとか村を守ることはできましたが、多くの若者が戦死してしまいました。しかし、おじいさんの息子は足が不自由であったために戦争に行かなくてすみ、親子ともに無事だったということです。

お話は以上です。人生は山あり谷あり、いいこともあれば悪いこともあります。うまいぐあいにいったと思ったことが、災いになることもあれば、不運だなぁ~と思ったことが、幸せに転じることもあります。「人間」と書いて「じんかん」と読み、世の中を意味します。これは「人間万事塞翁が馬 (じんかんばんじさいおうがうま)」というお話です。

元日早々、自然の猛威を目の当たりにし、世界では戦争が絶えません。しかし、将来きっと、希望に輝ける日が来るんだと「信じて」今を生きて下さい。あのアイピーエス細胞を発見された山中伸弥教授は、この言葉を座右の銘としておられます。

先生が医師になられて最初に勤務されたところは最先端の素晴らしい病院でした。「こんなところで働けるなんて何という幸運なんだろう ! 」と喜びました。

ところが働き始めると、厳しすぎる担当医の先生に連日のように叱られました。ウロウロしていると「やまなか、じゃまだ ! どけっ ! 」と言われ、とうとう「やまなか」ではなく「じゃまなか」と呼ばれる始末です。山中教授は、すっかり自信を失ってしまいます。人生であれほど怒られた経験はなかったそうです。

しかし、その苦い体験が、先生を、お医者さんではなく研究者の道に導いてくれました。そして、最終的にノーベル賞につながったと言われます。この他にも様々な体験や経験から先生は次のように考えるよう心掛けられました。

『物事が順調に進んでいるときは「悪いとこの始まりではないか」と用心し、物事が思うように進まない時や好ましくない出来事が起きた時は「これが、どんな良いことにつながるんだろう」と思うようにしよう。ジャンプする時、低くががむほど高く飛べるじゃないか。人生も同じだ』と。

ぜひ参考にしてください。
わが永島学園は創立以来 99 年間、多くの卒業生を世に送り出して参りました。米子松蔭 (旧米子商業) 高等学校、松江西高等学校、出雲西高等学校、明誠 (旧益田商業) 高等学校、合わせますと 6 万人にも及ぶ卒業生が社会で大いに活躍しておられます。その同窓のみなさんがどこかで君たち卒業生を見守ってくれていることを覚えておいてください。
社会は複雑に変化しつつありますが、今からスタートする皆さんの未来は、これから自分の力で築き上げて行くのです。これから起こること、その中での様々な体験や経験は、きっときみたちを成長させてくれます。これまで育てていただいた方々に感謝をしつつ、ここまでになった自分に自信を持ち勇気を持って巣立って下さい。
これからののち、皆さんの母校となる永島学園のそれぞれの高校もそこで働く教職員の皆さんも共に、君たち卒業生を暖かく見守り応援していることを忘れないで下さい。
一人一人かけがえの無い体です。どうぞ大切にされ、みなさんの歩まれる道が、明るく照らされ、実りの多いことを祈っています。

卒業、おめでとう !